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NIPPON PROUD にっぽんプラウド | 日本のモダンデザインインテリア 偏愛カタログ

佐々木 敏光のバンビーニチェア

佐々木 敏光のバンビーニチェア

2021.03.10

文 : NIPPON PROUD にっぽんプラウド 森口 潔
協力 : (株)Sdi

ますます子供を取り巻く環境は厳しく、子育ても難しい世の中になってきた。しかし、いつの時代でも、子供は出来得るかぎり良い環境で幸せに育って欲しいと思う親心は変わらないだろう。
そんな親の愛情をカタチにした子供椅子がロングセラーを続けている。
プロダクトデザイナーの佐々木 敏光(1949〜2005)が1970年代にその原型を作ったBambiniバンビーニという椅子だ。

佐々木 敏光というデザイナー

木工家からスタートした彼は、当時愛読していたレオ・レオーニの絵本に触発され、自分の子供にも何か作ってあげたいという強い衝動に駆られたと聞く。
56歳という若さで天に召された彼は、チェアのデザインに当時すでに珍しくなった原寸大の図面を引いて創作活動をしていた。 数百という線をフリーハンドで描いては最善のラインを見出していく愚直とも言える方法は実は、人の身体や暮らしに馴染む道具を産み出す最短の道筋なだったのに違いない。

座面と足置きの位置は4段階に変えられ、オプションのベビーシートを付けると6ヶ月乳幼児から就学中はもちろん、大人になっても使える。 昨今多くの小学生が、ダイニングテーブルで勉強をすることが一般的なのを考慮すると子供椅子の重要性は高まっている。 幼少期に良いデザインに触れてそれを大切に使うことの経験は豊かな情操を育むことだろう。

多くの小中学生はダイニングテーブルで学習することも珍しくない

子供椅子の世界ではノルウェーのストッケ社のトリップトラップが販売数も知名度もダントツだが、私はこちらのバンビーニに軍配を上げたい。 美しい曲線で構成された全体的なデザインの完成度もさることながら、倒すと木馬になる遊び心はやはり子供に対する深い愛情を感じるからだ。

今、国産にこだわるという決断

けして早くはないが、2015年にバンビーニを含む子供家具シリーズをメーカーのSdi(佐々木デザインインターナショナル)は完全な国産に切り替えた。 他国に生産させたり国外に生産拠点を持たない限り今の日本で家具家庭用品の販売において単純な価格比較では全く勝負にならない。 あえて子供家具に本来必要な堅牢にして繊細なモノづくりの姿勢をとった。 それは「おもちゃみたいな子供家具ばかりでは悲しいね」と生前話していた佐々木 敏光の願いでもあった筈だ。

我が家のバンビー二が望むことは・・・

そして我が家のバンビーニの現在といえば、ギターを弾く時の為に座高を高くしてバースツールの様な姿でご主人に仕えている。 が、しかし近い将来は(早くそうなって欲しいと願うばかりだが)孫が遊びに来た時の指定席になる予定だ。

●商品スペック
材質:メジロカバ突板成形合板  / ウレタン塗装
サイズ:W460 D545 H825mm
重量:ベビーセットなし本体重量 約5.4Kg  / ベビーセット付き本体重量 約6.4Kg
その他:日本製・組み立て式